2014年11月4日火曜日

ヒートショック ~室内温度差の危険~

入浴中に急死する高齢者数-冬場は夏場の11 倍!

主な原因は脱衣室・浴室等の温度低下による「ヒートショック」

冬場の住居内の温度管理と健康について

<住居内の温度管理によるヒートショック予防>

2011 年の1 年間で約17,000 人もの人々がヒートショックに関連した

入浴中急死をしたと推計され、

その死亡者数は交通事故による死亡者数(4611 人)をはるかに上回ります。

ヒートショックは医学用語ではないので死亡診断書にヒートショックという

用語は出てこず、「溺死」や「病死」と記入されているため、ヒートショックが

原因と思われる死亡の正確な統計データはありません。

しかし、家庭のお風呂で溺死する人は年間3,000~4000 人いるという

厚生労働省の統計と、2012 年に東日本全消防本部の81%の調査結果から

推計すると、上記の数値になると推計されます。


そのうち14,000 人ぐらいが高齢者の方だと考えられます。


■ヒートショックとは

ヒートショックとは温度の急激な変化で血圧が上下に大きく変動する等によって

起こる健康被害ととらえる事ができます。失神したり、心筋梗塞や不整脈、脳梗塞を

起こす事があり、特に冬場に多く見られます。

また、高齢者に多いのが特徴です。

■入浴時は特に注意

ヒートショックは体全体が露出する入浴時に多く発生します。

住宅内においても暖房をしていない脱衣室や浴室では、室温が10 度以下になることも

珍しくはありません。

寒い脱衣室で衣服を脱ぐと、急激に体表面全体の温度が10 度程度下がります。

すると私たちの体は寒冷刺激によって血圧が急激に上がります。

この血圧の急上昇が、心筋梗塞、脳卒中を起こす原因の一つと言われています。

さらに、一度急上昇した血圧は、浴槽の暖かい湯につかることによる血管の拡張で、

反対に急激に低下してしまいます。

この急激な血圧低下が失神を起こす原因の一つとなります。

浴槽内で失神する事により、溺れて亡くなるケースは入浴中急死の典型例と言えます。

このように冬場の入浴に伴う一連の行為は、血圧をジェットコースターのように大きく

変動させる要因となり、ヒートショックの危険を伴います。

外気温が低くなる1 月は、入浴中に心肺機能停止となる人が、

最も少ない8 月のおよそ11 倍であり(※1)

このように増加する原因は、ヒートショックによるものといえます。

(※1)下記グラフ数値による、1 月:779 件、8 月:71 件



■ヒートショックの危険性が高い人

高齢者は特に注意すべきです。日頃元気な場合でも、

高齢者は血圧変化をきたしやすく体温を維持する生理機能が低下しています。

また、高齢者以外にも、生活習慣病の方は注意が必要です。

高血圧の方は、血圧の激しい上下変動により、低血圧症が起きやすく、

意識を失うこととなります。糖尿病や脂質異常症の方も、

動脈硬化が進行していることがあるため、血圧の変化には気をつけなくてはなりません。


■ヒートショックを防ぐには

寒い季節、脱衣所や浴室を温かくすることで、ヒートショックは予防できます。

また、トイレも体を露出させる場所なので温かく保つことが重要です。


・脱衣所や浴室、トイレへの暖房器具設置や断熱改修

冷え込みやすい脱衣所や浴室、トイレを暖房器具で温めることは、

効果的なヒートショック対策の一つです。

(浴室で暖房器具を使用する場合は浴室専用の暖房器具を使用するなど注意が必要)

また併せて、窓まわりは熱が逃げやすい為、内窓を設置するなどの断熱改修で、

外気温の影響を最少限に抑えることも重要です。

浴室をユニットバスへ改修することでも断熱性は向上します。


・今日からできる対策-シャワーを活用したお湯はり

シャワーを活用した浴槽へのお湯はりが効果的です。

高い位置に設置したシャワーから浴槽へ

お温をはることで、浴室全体を温めることができます。

今日からでもできる対策として取り入れると良いでしょう。


・夕食前・日没前の入浴

夕食を食べる前、日没前に入浴することも良い対策法です。

日中は日没後に比べ、外気温が比較的高く、脱衣所や浴室が

それほど冷え込まないことに加え、人の生理機能が高いうち(※2)に

入浴することで、温度差への適応がしやすいためです。

(※2)人の生命を維持する生理機能のピークは午後2~4時。

これを過ぎると徐々に生理機能が低下していく。


・食事直後・飲酒時の入浴を控える

食後1時間以内や飲酒時は、血圧が下がりやすくなるため、入浴を控えた方がよいでしょう。


・湯温設定41℃以下

人によって影響は異なりますが、お湯の温度は、41℃以下にしておくことをお勧めします。


・一人での入浴を控える

可能な場合は、家族による適切な見守りや、公衆浴場、日帰り温泉等を活用し、

一人での入浴を控えるといった方法も有効です。


寒い季節、暖房や断熱改修を効果的に取り入れ、入浴の方法に気を配ることで、

ヒートショックを予防しましょう。


住宅のヒートショック対策

■居室の効果的な断熱改修等について

居室を効果的に断熱するためには、熱の逃げやすい場所を知る必要があります。

冬場の居室では、熱の48%が窓から逃げます。

また、換気を上回る熱が壁から逃げているというのも驚きです。

これらの熱を逃がさないように断熱することは、居室を暖かく保つと共に、

省エネルギーにも効果を発揮します。




居室の温度と健康との関係が、様々な調査・研究によって明らかになりつつあります。

これからの寒い季節に備え、簡単な施工で、コスト負担も少ない断熱改修や、

こたつやホットカーペットのような局所暖房ではない居室全体を温める床暖房等を

取り入れることは、居住者の健康に大変重要です。

温度に気を配り、快適な健康住宅づくりを心がけましょう。



生活協同組合・消費者住宅センター 

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